学校インタビュー

昭和学院小学校 中村教頭先生インタビュー

2023年12月に昭和学院小学校で教頭を勤めていらっしゃる中村先生にインタビューにいってきました。

お写真の通り、優しく温かい人柄の素敵な先生です。ぜひご覧下さい。

質問者:キッズさくらカレッジ幼児教室 上田香織

回答者:昭和学院小学校 中村教頭先生

それでは、まずは先生の経歴からお話をお願いします。

千葉県の公立小学校に24年間勤めました。その後、千葉大学教育学部附属小学校に行き、5年前に昭和学院小学校にまいりました。教頭職については昨年からですので、今年で2年目になります。

先生の今の具体的な仕事内容をお話ください。

対外的な仕事の調整や、子どもたちや先生方が安心して学習や指導に取り組めるように設備面の充実・改善を図ったり、先生方と授業づくりについて考えたり相談事にも乗って解決したりします。また保護者様との窓口になってご連絡を伺ったりしています。

先生の専門は何ですか。

算数です。公立学校時代には千葉県教育委員会から「魅力ある授業づくりの達人」の認定を受けたり、千葉大学教育学部附属小学校でも算数の研究に取り組んだり、現在も教科書の編集委員を務めたり、算数の研究会で全国の先生方に授業提案や発表等を行ったりしています。

「魅力ある授業づくりの達人」とは何ですか。

千葉県の教員の資質向上を図ることを目的にした認定事業で、公立小学校の先生方に対して授業の公開や資料等の情報提供、近隣校の授業実践のへの助言などを行いました。公立学校を離れた今でも、複数の公立小学校の校内研究に携わらせていただいております。授業を見て先生方に助言したり、子どもたちにとって楽しいと感じる授業づくりに一緒に取り組んだりしています。

御校では算数の授業は特に力を入れて楽しい授業を展開しているイメージがあります。

子どもたちにとって、学校での1日の中で一番長い時間を過ごすのが、授業です。「友達と一緒で楽しい」とか「休み時間が楽しい」とか「給食が美味しい」等ももちろん大切ですが、やはり、授業が楽しくなくてはいけないと思っています。今の子どもたちが大人になって過ごす未来社会は、今以上に変化の激しい時代になるといわれています。それだけに、社会の変化に対応して自ら考え判断し表現する力が必要になると思います。算数は思考し表現する力を養う学習でもありますので、「考えることが楽しい」と思って取り組めることを目指して力を入れています。

楽しい算数の授業を見させていただく機会があります。全て中村先生のアドバイスあってのものなんですね。

まったく、そんなことはないです(笑)本校の先生方のよいところに、学級を閉鎖的なものにするのではなく、物理的にも心理的にも教室を開放して、お互いが気軽に授業を見せたり、あるいは見に行ったりという人間関係があります。職員室には、誰かが「明日の授業、どうしようかな」と呟けば、みんなで意見し、一緒になって考える雰囲気もあります。その人間関係や雰囲気が、よりよい授業の実現に結びついているのだと思います。

もしかしたら、保護者の皆様の中には、先生が前で話し、子どもは静かに話を聞きながら姿勢よくノートをとる景色がよい授業と捉える方もおられるかもしれません。本校の子どもたちはとにかく賑やかに、学習に取り組んでいます。「先生、分かった!」と前のめりになって(姿勢を崩して)、自分をアピールする子もいます。そのときの子どもたちの表情は、みんな笑顔です。そのような子どもたちの素直な姿を引き出すために、算数の授業づくりでは、導入場面の「えっ?」「はっきりさせたい!」と思う疑問や問いをもたせるところに力を入れています。先生が前に立ち、「黒板の問題を写して解いてください」と話せば、子どもは黙々と静かに解くのかもしれませんが、そのような学習は一人でもできます。せっかくみんなが学校に集まって一緒に学習するのですから、みんなで学ぶ・創る楽しさを味わえるようにしたいですね。本校の授業では、先生が一方的に教え込むことはしません。子どもたちが主体となる授業をつくっています。ですので、「これはこうじゃない?」「こう思うよ」と、子どもどうしで声をかけ合い、賑やかな授業になっています。

キッズから御校に通っている生徒たちは本当に学校が楽しいと言っています。それはどの子にきいてもそうなんです。保護者の満足度も高いようです。また、在校生の保護者の方から学校の魅力を聞くと、先生たち同士が仲が良くてその雰囲気が好きと聞いたことがあります。先ほど先生がおっしゃった先生たちのどうしの人間関係の風通しの良さを感じました。

次に、先生の教育観をお話ください。

「学ぶことが楽しい」と思えなくてはいけないと考えています。算数の公式を覚えて難しい問題をひたすら解く学習も必要かもしれません。でも、大人の私たちが経験して分かっていることだと思いますが(笑)、原理・原則が分からないまま覚えているだけの学習では、例えば、テストや受験を経た後にすぐに忘れたり、「あの勉強は何だったんだろう?」とよく分からないままだったりしてしまうことが多いはずです。小学校は、中・高校・大学と学習が続いていく最初の一段階目です。だからこそ、小学校段階では、まず「学ぶことは楽しい」と、知的好奇心を揺さぶることを大切に行っていきたいです。本校には「昭和オリンピック」という行事があります。運動に関するいろいろな種目に取り組みますが、その目的は単に運動できる子を表彰しようとすることではなく、経験することをきっかけに、また人がやっている姿を見て、「もっとできるようになりたいな」「私もやってみようかな」等と挑戦したり、挑戦をとおして「私にもできた!」という気持ちをもってもらったりするところにあります。他にも、本校では百人一首大会や「100冊読書賞」など、がんばりを認めて褒める機会をたくさんつくっています。子どもたちには経験する機会と、「できた」という達成感をたくさん味わわせてあげたいです。

幼児の学びをみていても、楽しく勉強することは最も大切だと思います。主体的に楽しんで勉強する子と、言われたからやる子では成長率が大きく違ってきます。幼児期は如実にのそ変化を目の当たりにします。

「子どもは何もできない、何も知らない」と考えて、大人が一方的に教えようとする構えでむかうと、子どもたちは黙ったり、話をただ聞くだけになったりしてしまいます。休み時間の遊んでいる子どもの姿を見ても、子どもは大人が思っている以上に自分で考え、行動できます。だから、大人が一方的に注入的に教えようとするのではなく、子どもと一緒に考えたり活動したりすることを楽しもうとする気持ちをもって臨むと、子ども本来の素直な姿が表れてきます。そして、子どもが踏み出した一歩を認めたり、意見したことに「ありがとう」と返したりすると、子どもたちは自分を認めてくれたと感じ、それが自己肯定感を伸ばすきっかけになっていると思います。

先生から見た御校の魅力または子どもたちの魅力を教えてください。

本校の子どもたちは、積極的に挑戦してみようという気持ちが強いなと感じます。「どうせできないや」と口に出すのではなく、とにかくやってみようというエネルギーがとってもあります。また、本当に明るくて元気いっぱい、素直な子どもたちだとも感じています。だからこそ、学校ではいろいろな経験を積ませてあげたり、やってみようと踏み出した一歩を認めて褒めてあげたりしています。先生方も、子どもの動きを見過ごさない眼差しや言葉がけを大切にしています。本校の校長は「うちの学校の自慢は子どもの笑顔です」とよく話していますが、まさにそのとおりです。

最後に先生から何かメッセージがあればお話してください。

これから未来を担う子どもたちに必要なものってなんだろうと考えなければいけないと思っています。目の前のテストさえできるようになれば、一方的に教わったり覚えたりさえすれば、変化の激しい未来社会を自分らしく生きていけるのでしょうか。

これからは、自分の思ったことや感じたことをいろいろな人に伝えたり、あるいはいろいろな人の思いを聞いて一緒になって考えたりすることが必要になってくると思います。だからこそ、「覚えなさい」「やりなさい」と指示を与えるだけでなく、子どもの、最初は小さな一歩かもしれませんが、自ら動き出すのを待って認めたり、、いろいろな経験を用意して、子ども自らで表現したり考えたりする場面を大切にしていく必要があるだろうということを感じています。

幼児の学びの場にいますと自分の思いを素直に出せない子もいます。

まずは、失敗を恐れないことを教えてあげたいです。そして、子どもたちにはいっぱい失敗も経験させたいなと思うのです。失敗をした時にはもちろん支援が必要になりますが、失敗したっていいじゃないと思うのです。失敗を恐れて自分の思いを表現しなくなることの方がもったいないです。大人は「やってごらん」と背中を押してあげて、上手くいかないことも経験しながらフォローを入れて次を考えることが大切なのかなと思います。失敗から学ぶことも大いにあります。大人の皆様には子どもたちに失敗を経験させましょうと、子どもたちには失敗を恐れずに挑戦してみましょうと伝えたいです。

私も保護者の方にお子さんにたくさんの失敗をさせてあげてくださいという話をよくします。そもそも失敗を恐れて少しでもわからない問題はとかない、やらないというスタンスをとるお子さんもいます。

私の専門の算数は、特に合っている・間違っているがはっきり分かる学習です。「間違えたらどうしよう」と失敗を恐れる子には、固くなった体を解きほぐすように「間違えてもいいんだよ」と伝えるところから学習を始めるようにしています。分からないからみんなで学習するんだもの。みんなで考えることを楽しもうよ!と話をしたり、そういったことを経験できるような教材を用意して一緒に考えるようにしたりしています。

1年を通じで子どもに変化はありますか。

間違いなく変わっていきます。いっぱい呟くようになったり、手を挙げたり……。手を挙げなくても隣の子とお話してごらんと促すと話したり、ノートに自分の思いを表現したりします。授業がとても賑やかになります。

それを続けていくと、自分が思ったことを発言できるように伸びていきますね。

はい。そこを目指していきたいです。

質問は以上になります。先生の温かい人柄を感じるお話が多く、益々御校の魅力が増したように感じます。本日はお忙しい中貴重なお時間をとっていただきありがとうございました。

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